正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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がんを防ぐーしそー

     - クスリになる食べ物

紫蘇ひとり梅にも通ふ匂かな 鷺水

しそはほんのわずか食べただけでも「しそが入っている」と気付くほど存在感のある野菜です。あの独特の香りと味の成分はペリルアルデヒドです。また、このペリルアルデヒドには砂糖の200倍の甘さがあり、強い殺菌力と食欲増進作用を持っています。

しそにはいろいろな栄養素が含まれていますが、最近、青じそに健康を維持するための生体調節機能をもつ成分があることが明らかになっています。つまり、免疫力強化で、体をガンから防御するとされ、さらに詳しい研究が進められています。

しそは漢字で「紫蘇」という字を当てますが、葉を「蘇葉」、種子を「蘇子」と呼び、数々の漢方処方に用いられてきました。「蘇葉」はのぼせ除去、健胃、発汗、利尿剤として、「蘇子」は風邪、咳、脚気の妙薬として広く応用され、健康保持に貢献してきました。

日本では青じその葉を使ってしそ酒をつくり、貧血、冷え症、低血圧、生理不順、白髪予防などに用いられてきましたが、しそ酒は3週間ほどで飲めるようになりますので手軽にできる健康ドリンクです。

また、梅漬けに赤じそを使いますが、しその葉が赤いから梅も赤く染まるように思いがちですが、そうではなく、梅と一緒に入れる塩と梅から出るクエン酸が、赤じそに含まれているシソニンという色素を溶け出させて、鮮やかな梅干しを作り上げるのです。

しそは、よくタネと果実を間違われます。一般にタネと呼んでいるのはじつは純然たる種子ではなく、純種子を含んだ果実です。最近、しその実からとれるしそ油がアレルギー体質を改善するといわれていますが、これはしそ油に含まれるα‐リノレン酸が体内でエイコサペンタエン酸(EPA)という物質に変わり、炎症を起こす物質をつくりにくくする働きをするからです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」160号(1999年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。