正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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がんを防ぐー春菊ー

     - クスリになる食べ物

野菜の色は色々な種類の色素が混じって作り出されていますが、その色素にカロチノイドというものがあります。これは春菊、ほうれん草、小松菜など緑の多い野菜に含まれており、かなり強い制がん効果のあることが、実験的にわかっています。

また、春菊のさわやかな香りはα―ピネン、ベンズアルデヒド、カンフェリンなど十種類の成分からなっています。この成分には、胃腸の働きを促して消化吸収をよくしたり、痰を切って咳を鎮める効果があるといわれています。漢方ではのぼせをとって熱を下げ、抵抗力の回復力を高めるので風邪や下痢、貧血ぎみの人や冷え性の人に効果があるとして珍重されています。

また、春菊には、ビタミンAとカロチンが多く含まれています。生もので100グラム中、カロチン3400ミリグラム、ゆでると4600ミリグラムに増えます。そのほかビタミンやCも期待でき、カルシウム、カリウム、鉄分なども多く、総合的な栄養を含む野菜といえます。

春菊はキク科の野菜です。春に菊と同じような黄色の花を咲かせることから、「春菊」の字が当てられます(和漢三才図会)が、牧野「植物図鑑」によりますと「春に若芽を食用とする」からとあります。原産地はヨーロッパ南部の地中海沿岸とされています。日本に伝わったのは十七世紀(十五世紀前半という説もある)ですが「大和本草」には、春菊ではなく、(シンギク)と書かれ「春、花を開く。九、十月にうゑる。その葉および花は煮て食ふべし。性良し。毒はなし。少し香気がある。随時、実(たね)をまけば常に苗が生ず。故に、わが国の俗では無尽草と云ふ」とも述べています。

また、「本草綱目啓蒙」には、興味深い方言が書かれています。カウライギク(京都)、ムジンサウ(島根)、フダンギク(三重)、ルスン(三重)、ロウマ(山口)、ツマジロ(石川)、サツマギク(岐阜)、リウキウギク(香川)、オランダギク(徳島)、シユンギク(関東)、等々。

春菊は、アクが少ないのでそのまま調理できます。ゆですぎると香りが飛んで薬効もうすれますので、さっとゆで、香りが逃げないようにします。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」155号(1998年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。