正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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しょうが

     - クスリになる食べ物

ふつうは、鼻、のどなどの上気道の急性の炎症を主な症状としてあらわす病気をカゼと呼んでいます。今の医学では、その原因はいわゆるウイルスにあるとみなして、そのウイルスをやっつける薬やワクチンを作るのに一生懸命になっています。

ある説によるとウイルスは外にもいますが、ウイルスがみつかったとしても、それは外から入りこんできたものではなくて、自分自身の体でこしらえたものですから、カゼの真因は私たちの体そのものということになります。これは腸の中で自家生産されるのです。

私たちの腸の中には無数の微生物が棲んでいます。健康体では乳酸菌などの有益な菌が優位に立って一定のバランスが保たれています。ところが、腸内環境が悪化しますと、そのバランスが崩れて、病的なバクテリアの増殖が盛んになり、しかもそれは崩壊しやすいので、崩壊するとウイルスに姿を変えて、どんどん血液の中に入ってしまいます。つまり血液が汚されるわけです。

とくに上気道の粘膜が弱っている人では、そこの炎症が目立つことになりますので、その状態をカゼと呼んでいるのですが、カゼをひきやすい人は、上気道の組織の抵抗性が弱っていることになります。

しょうがには発汗作用や胃液の分泌をよくして消化吸収を促す働きがあります。とくに辛みの成分であるジンゲロンには強い殺菌力がありますので血液の循環をよくして、内臓全体の働きを活発にする作用があります。

またしょうがは、魚や肉のにおい消しとして、また風味づけや毒消しとして、昔から料理に用いられてきました。生魚などによる食中毒予防するのに効果的です。

独特の香りは、シネオール、ジンギロール、ジンギベレンなどの精油成分によるものですが、これらは消炎、発汗、去痰、保湿などの作用をもつことで知られています。のどが痛む、たんが出る、寒けがするといったカゼの初期にはもってこいの食品です。

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」179号(2000年11月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。