正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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統合医療とは何だろうか?第17回

     - 統合医療

(前回からの続き)

米よりパンのほうが栄養価は高い

最近の若い方々は、ご飯よりもパンを好む傾向があるようです。コマーシャルでもふわふわの、真っ白い食パンをおいしそうにほおばる若い女性がよく登場しますね。ああいうコマーシャルを見ていると若い人でなくともパンを食べてみたいと思うかもしれません。しかし、パンの原料の小麦粉はもともと黒っぽい色をしています。その小麦粉から作ったパンが真っ白というのは、おかしいと思いませんか?そう、懸命な読者はお分かりと思いますが、実は真っ白いパンの原料の小麦粉はさまざまな化学合成薬品によって真っ白くしているのです。精白小麦粉で作ったパンは、ですから体によくないのです。

一方、未精白の小麦粉で作ったパンは薄茶色です。麦類にはビタミンB1、B2のほかに玄米に少ないカルシウムもたくさん含まれていますし、グルタミン酸も多く含有されていますので、未精白小麦粉で作ったパンであれば体によいでしょう。

しかし、玄米と未精白小麦粉で作ったパンを比べるとやはり栄養的には玄米に軍配が上がると思います。小麦には必須アミノ酸が欠如もしくは不足しており、パンだけでタンパク質をとろうとすると栄養障害を引き起こします。

この点、玄米はバランスの取れた完全食品です。玄米は中心部に胚乳部があり、その一角には胚芽、そしてこれらの周りを糠が取り巻いています。胚乳部はでんぷん質で、人間にとって重要な炭水化物です。この炭水化物は人間の体を作るタンパク質生合成する際の素材なのです。炭水化物が吸収されるためには各種のミネラル、ビタミンが必要ですが、玄米にはこれらのミネラル、ビタミンが豊富に含まれています。

玄米のすばらしさは別立てで詳しくお話したいと思いますが、ここで強調したいのは、精白したパンは未精白のパンに比べて栄養的に劣りますし、化学合成薬品で精白しているので体にはよくありません。また、未精白の小麦粉で作ったパンでも栄養成分の豊富さとバランスのよさでは玄米にかなわないということです。

未精白の小麦粉で作ったパンをたまに食べるのはよいでしょうが、主食として毎日召し上がるのは玄米にしていただきたいと思います。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」315号(2012年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士