正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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統合医療とは何だろうか?第18回

     - 統合医療

(前回からの続き)
バターはコレステロールが多いから植物性マーガリンを使っている

多分皆さんはテレビで、「…社のマーガリンは植物から作られており、動物性脂肪の多いバターに比べてとってもヘルシーです!」といったコマーシャルをご覧になったことがあるかと思います。
この、「植物から作った」というところが曲者で、こういわれるとマーガリンはバターに比べて体にいいのかなという気がしますね。でも、皆さんマーガリンの作り方をご存知でしょうか?
マーガリンは水素添加という手法で製造されます。植物油の不飽和脂肪酸は常温では液体です。この植物油から固体のマーガリンを作るために高温高圧の水素ガスを反応させて、
バターのような柔らかい固体状のものを作るのです。この水素添加の過程で、トランス型脂肪酸という不飽和脂肪酸が作り出されますが、トランス型脂肪酸は自然界にはほとんど存在しません。

トランス型脂肪酸には「プラスチック食品」という異名があるほどです。トランス型脂肪酸が細胞内に大量に存在すると細胞膜が正常に機能しなくなるといわれています。
また、もっとも問題なのは血液中の悪玉コレステロール(LDL)が増加して、善玉コレステロール(HDL)が減少することです。この結果として動脈硬化が進行します。
WHOの2003年のレポートで、トランス脂肪酸は心臓疾患(心筋梗塞などの虚血性心疾患)のリスク増加との強い関連が報告されています。
また、認知機能の低下やアトピーなどアレルギー疾患発生の報告もあります。さらに摂取量が多いと不妊になるともいわれています。

トランス型脂肪酸はマーガリンのほかにショートニングといって、揚げ物やクッキー、ビスケット、スナック菓子などにサクサク感を与える目的でも使われています。
そのほか、サラダ油、マヨネーズなどにも使われていることがありますので要注意です。
トランス型脂肪酸は欧米では厳しく規制されていますが、日本では摂取量が少なく体に与える影響は少ないという理由で特段の規制はされていないようです。
いかがでしょうか。以上のマーガリンに関する記事を読んだあとでも皆さんはマーガリンを召し上がりますか?
結局、マーガリンとは植物油から作った「合成化学品」だということです。合成化学品を私たちの体は体外に排泄する機能を備えてはいますが、度を過ぎればこれらは体に蓄積します。
私たちはもっと自然の恵みをそのままの形で、感謝していただくことが大切なのではないでしょうか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」317号(2012年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士