東洋医学の視点で見る竈門炭治郎くん
- 鍼灸治療
みなさま、あけましておめでとうございます
昨年に引き続き今年も人気が続いている「鬼滅の刃」。
昨年の非常事態宣言のあいだ、仕事がずいぶん少なくなりました。
ヒマにまかせて話題になっていた「鬼滅の刃」とやらのアニメを見てみました。
すると60代のおばあさんも大きくココロを揺さぶられることとなりました。
物語の続きを知りたくて10月には劇場版を見に行きました。
そこで、さらに紅涙を絞らされることとなりました。
炭治郎くんたち鬼殺隊の面々は鬼と対峙するとき、
自分の持っている能力の100%以上出すために「全集中の呼吸」をします。
呼吸のコントロールについてはヨガをする者として看過できません。
呼吸はヨガはもちろんのこと武術、格闘技などでも重要視されています。
ただ、今回お話したいのは炭次郎くんの並外れた嗅覚についてです。
炭治郎くんはその嗅覚で大都会の雑踏の中、
鬼の居場所を突き止めるだけでなく人や鬼の気持ちを理解するのです。
東洋医学の古典、難経(約2000年前に編纂)の六十一難に四診について記されています。
四診とは以下にしめすように五感を駆使した診断法です。
望診‥視覚による情報収集。例えば動作、歩き方、顔色、皮膚、爪、舌など
聞診‥聴覚と嗅覚による情報収集。発語が明瞭か、応答がスムーズか、体臭など
問診‥現代の医学と同様、患者さんから症状や経過を聞き取ることです。
切診‥患者さんの体に直接触れる診察。
聞診は匂いで病いを察知する方法です。
五臓六腑のどこかに病いがあるとき、独特の匂いがするそうです。
例えば「肝」だとあぶらくさい、「肺」だと生臭い匂いがするといわれています。
匂いで病いを感じ取れるとしたら、その能力が優れている人は
鬼の匂いも感じとることができるのかもしれません。
匂いで病いを見つける方法として、
最近では訓練された犬がヒトの尿を嗅ぐことによりがんを発見することができるそうです。
犬はヒトの1000倍~1億倍の嗅覚を持つそうです。
嗅覚について、犬にも炭次郎くんにも及びませんが鍼灸師である私も五感を研ぎ澄まし、
皆さんの健康の一助になりますよう今年も精進いたします。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」421号(2021年1月5日発行)に掲載された記事です。
著者 ●鍼灸師 |
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