正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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灸の効能・鍼の効能

     - 鍼灸治療

お灸の材料であるモグサが何からできているかご存じですか?モグサはヨモギの葉の裏側のふわふわした部分を集めて細かく砕き、乾燥させ、さらに石臼で挽き、夾雑物をとり除いて作られます。ヨモギにはシネオール、セスキテルペン、アセチル コリンなどが含まれ収斂性止血、鎮痛、鎮静、新陳代謝機能の促進などの作用があります 。また、灸施術後は①白血球の増化②血流の改善がみられます。灸施術中の煙の中にもシネオールが含まれており、お灸の匂いをかぐとホッとする気持ちになると言ってくださる方がいるのもこの成分のなせるワザなのです。お灸はアロマテラピーでもあります。

ギックリ腰で痛くてたいへんだった人が、鍼治療を受けたらすごく楽になったという話を聞いたことがありませんか?ヒトの体の痛みを抑制するシステムはなかなか複雑なのですが簡単にまとめてみましょう。鍼治療をしますとその刺激が皮膚、筋肉に分布する神経線維を通して脊髄神経、脳へ連携的に働き①痛み情報の遮断・抑制②鎮痛物質の産生がおこります。また灸施術と同様に血流も改善されます。痛みがありますと体に緊張状態が続き体を休めることができません。痛みを緩和することにより体は自然治癒力をより発揮できます。

鍼灸は体の表面に刺激を加えるだけなのにどうして内臓にまで影響がでるのかしらと思いませんか?これはヒトが備えている「体性-内臓反射」「体性-自律反射」によるものなのです。一定の体壁を鍼、灸で刺激しますとそれが同じ神経支配を受けている内臓に伝わり内臓の蠕動・収縮、分泌の亢進・抑制、血管の拡張・収縮などに作用します。胃の調子が悪いのに胃からはずいぶん遠い脚のむこうずねに鍼を打つ理由もこんなところにあります。

現在はこのようにデータを取り、分析し鍼灸の効能を生理学的に理解し説明できるようになりましたが古代の先人は経験的にこれらのことを積み重ね伝承していたのです。人間の知恵、探求心はすばらしいと実感させられます。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」243号(2006年3月6日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。