正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ハヌマーン

     - 鍼灸治療

「未来」をお読みくださっている皆さま、あけましておめでとうございます。

2016年は申年ですね。ヨガのアサナのなかには動物の名前がついているアサナがたくさんあります。床に座り脚を前後に開脚するアサナにはハヌマーンアサナ(猿の王のポーズ)という名前がついています。

さてハヌマーンとはどんな猿だったのでしょうか。

古代インドの長編叙事詩「ラーマヤーナ」は古代の英雄ラーマ王子の冒険物語が書かれています。主人公のラーマ王子を助け悪魔と戦う、怪力無双の猿の王がハヌマーンです。ハヌマーンの尾は無限に長く、雷のような唸り声を上げ空中を飛び回り雲の間を駆け巡るといわれています。

ハヌマーンにはいろいろなエピソードがあります。そのなかのひとつに、悪魔との戦いのなかでラーマ王子の弟が瀕死の重傷を負った時、ハヌマーンは軍医に頼まれてラーマ王子の弟を生き返らせる薬草をヒマラヤのカイラーサ山に採りに行きます。しかし夜明けまでに4種の薬草を取らねばなりませんでした。

時間も無く、薬草を見分けることができなかったハヌマーンは持ち前の怪力で山頂を丸ごと軍医のもとに運びラーマ王子の弟は無事命をとりとめたそうです。

悪を懲らしめるハヌマーンはインドだけではなくサンスクリット語圏であり古くからインド文化の影響を受けてきた東南アジアでもよく知られています。私自身も意外なところからそれに気づくことがありました。たまたまレンタルビデオで『ウルトラ6兄弟VS怪獣群団』という映画を観ましたら、なんとハヌマーンとウルトラ6兄弟が協力して悪い怪獣を退治するというお話でした。タイと日本の合作の1974年の作品でした。最近ではモンスターストライクというゲームのキャラクターにハヌマーンがいるようです。

今年は猿の王ハヌマーンにならって山から山を一跨ぎするかのごとく前後開脚の練習をいたしましょうか。

【参考文献】
『ヒンドゥーの神々』立川武蔵・石黒淳・菱田邦男・島岩 せりか書房
『孫悟空の誕生』中野美代子 福武書店


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」361号(2016年1月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。