レンコン
春の七草、秋の七草はよく知られていますが、冬至に食べる「冬至の七草」と呼ばれる食材があります。レンコンはその一つですが、他の六種類は、ナンキン、ニンジン、ギンナン、キンカン、カンテン、ウンドンです。ナンキンは、カボチャ(南瓜)のことで、ウンドンは、ウドン(饂飩)の古い呼び名です。いずれも「0ん0ん」と「ん(運)が二回もつくので「運がつく食材」といわれ、「縁起の良い野菜」としてお正月のおせち料理に欠かせものになっています。
レンコンはハス科の植物で、ハスそのものの栽培発祥地はインドとされ、日本でも2000年前のものが発掘されています。食用のハスは鎌倉時代以降に中国から導入されました。ハスの地下茎が肥大して食用となるのがレンコンです。
主成分はでんぷんで、ムチンという粘質物が含まれています。切ると糸を引くのはこの粘質物のためで、酢などの酸を加えてゆでると粘性を失うために歯切れがよくなります。アクの主成分はポリフェノールによるもので、これから冬に向かって出盛りとなります。
レンコンのアク成分であるポリフェノールは、一般にタンニンと呼ばれているもの。ポリフェノールには抗酸化作用があり、老化やガンの予防など多くの生理作用が期待されています。またレンコンは野菜の中では食物繊維が比較的多いので腸の働きを整えて便秘を予防・改善し、コレステロールや有害物質の吸収を抑制するなど生活習慣病の予防に役立つといわれています。
レンコンはビタミンの一種であるパントテン酸を多く含んでいます。パントテン酸はビタミンBの仲間で、脂肪など多くの栄養成分の代謝に関係していますので、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。また、免疫力を強める、ストレスに対する抵抗力を増すなどの働きが知られています。
また、レンコンには昔から、多くの民間薬としての伝承があります。せき止め,痰や喘息を鎮める、鼻血や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの止血、その他高血圧や下痢に良いという記録もあります。
ほのぼのと
舟押し出すや蓮の中
夏目漱石
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」431号(2021年11月5日発行)に掲載された記事です。
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