正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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漬け物

     - クスリになる食べ物

海外勤務の人がピクルスでは満足できないで、どうしても漬け物が食べたくなるそうです。漬け物の歴史は古く、塩漬け、粕漬け、ぬか漬け、みそ漬け、しょうゆ漬け、酢漬け(甘酢、二杯酢)、ぬた漬けなど多種多様で、発酵と浸透圧を応用したものでず。野菜・山菜・根菜・魚・木の実など材料もいろいろですが、何といっても漬け物の代表は大根でしようか。漬け物もはじまりは平安時代後期といわれます。

漬け物は味噌作りと同じように手作りで、それぞれの家の味がありましたし、工夫がありました。味噌ほどではないにしても、漬け物作りも家庭ではだんだん少なくなってきて、工場製のものが販路を伸ばしています。

ぬか漬けは栄養的にもいいものです。乳酸菌が体内でいろいろ働いてくれて貧血や胃腸病、腎臓病、血液の異常にもよい効果があり、強壮、美容の働きもあるといわれています。

何代も前のぬか床を今もずっと守り続けているお宅もあります。若い世代の方は手に臭みがつくといって、しゃもじや菜箸でかき回す人がありますが、手を入れて攪拌しますと、皮膚の乳酸が発酵を助けて、発酵が進みすぎたり、虫が湧くようなことはありません。

手入れをした後はその人の手もしっとりしてきます。ぬかの成分が皮膚を蘇らせるのでしょう。手の臭みは、よく洗えば消えます。

福神漬けも漬け物の一種だと思いますが、フリーライターの本間美加子さんは『7月29日は、7(しち)月29(ふく)日の語呂合わせで「福神漬けの日」。「福神」という何ともおめでたい名前は、七福神から取ったもの。明治時代に東京上野の漬け物店で売り出された際、原料である大根やナス、ウリなど7種類の野菜を七福神に見立てて命名したそうです。また「福神漬けがあれば、おかずいらずでお金が貯まる。福の神も一緒に漬けてあるのでは?」との噂がこの名前を生んだという面白い説もあります。』と述べています。

福神漬けといえばカレーとの黄金タックがお馴染みですが、こちらの発祥は海の上。豪華客船のレストランでインド料理の薬味であるチャツネの代わりとしてカレーに添えられたのが定番化したといわれています。

流れ行く
大根の葉の早さかな
高浜虚子

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」451号(2023年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。