正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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だいこん(大根)

     - クスリになる食べ物

「桜島のだいこん、これは日本人の生み出したものの中で世界に例を見ない見事なものである」。世界的に有名なソビエトの遺伝学者バビロフが日本の農作物を調査しに訪れた時の言葉です。だいこんの原産地は中央アジア周辺と見られていますが、約六千年ほど前エジプトにピラミットが建設されたとき、この仕事に励む人々にだいこんを食べさせたという記録があります。日本には中国から伝来しました。古名はオオネです。

「日本書紀」(七〇二年)に「於朋泥(おほね)」としてだいこんについての記載がありますが「和名類聚抄」(九三四年頃)では葍(ふく){通称、蘿蔔(すずしろ)・蘿菔(らふく)}の字があてられ、「於保禰(おほね)とよみ、俗に大根の二字を用ふ」とあります。その後だいこんの和名として、須々志呂(すずしろ)、根白(ねじろ)などがつけられていますが、いずれも純白さを表すものとなっています。

奈良時代の「正倉院文書」からは、だいこん一把は米一升に匹敵することが読み取れ、当時は高級野菜であったことがわかります。また「徒然草」には、「土おほねよろづにいみじき薬とて朝ごとにふたつづつ、焼きて喰ける事」とありますので、薬草として扱われていたのでしょう。このころ日蓮上人がだいこんを見て「大仏の釘」ほどもあると驚いたということですから、当時のだいこんの大きさが推測できます。

だいこんは太くて白いことが特色なので、太い足をだいこん足といったりすることがあります。だいこん役者というのは、だいこんの白いように白人(しろうと)だということで芸の拙劣な役者を嘲っていったのが始まりです。また、だいこんはいくら食べても当たらないので(腹をこわさないので)、芸の下手な役者を大根役者と呼んだそうです。

「・・皮をむいてはいけない・・昆布を敷いて、それへ大根を大きく輪切りにぶつぶつとやってのせ、充分に煮たものへ、生醤油をちょっとつけて食べる。大根のうまみというものがよくわかって結構じゃ」[道重信教・味覚極楽]。古名のオオネ(大根)を音読したのが「だいこん」です。

半身の大根を煮てあたたまる
清水経子

日高 一


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」267号(2008年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。