正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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玉ネギ

     - クスリになる食べ物

玉ネギは栽培植物としての歴史は古く、エジプトではピラミッドの建設に携わった人々が大量に消費したと伝えられています。日本へは江戸時代に長崎に渡来していますが、明治になってアメリカから北海道と大阪に本格的に輸入されました。

北海道産の玉ネギは8月末ころから市場に出回ります。貯蔵技術や施設の発達で翌年の5月ころまで供給が可能になりました。今、玉ネギは一年中食べることができます。

ユリ科ネギ属の玉ネギ、ニラ、ネギ、ニンニクなどには、特有の匂いがあります。アサツキやラッキョウ、ワケギもこのグループに属し、エシャロット、リーキなどもこの仲間です。  

これらの作物に共通する匂いは硫化アリルと呼ばれる化合物に由来します。玉ネギは特に栄養価が高いわけではありませんが、涙を出させる成分、硫化アリルがビタミンB1と組み合わさったときに大きな力を発揮します。硫化アリルは肉の臭みを消す働きもありますし、ビタミンB1の体内での吸収を高め、利尿、発汗作用を促し、新陳代謝を盛んにしてくれます。そのため、疲労回復、不眠解消、イライラ解消などの役に立ちます。肉料理に玉ネギが使われるのは、味はもちろんのこと栄養価の面でも効果があります。豚肉を使った肉じゃがは、玉ネギの特徴を生かした料理といえましょう。

動物実験で、玉ネギは白血球数を増加させる作用が大きく、免疫力をアップして体の抵抗力を強くすることが報告されています。また、腫瘍を壊死させる因子を産生する作用があることも報告され、抗がん性を裏づけるものと考えられています。

がんと食べ物の関係については、世界的に多くの研究が行われています。これらの結果をもとに、アメリカの国立がん研究所が作成したがん予防効果が期待できる食品リストには、玉ネギが重要度の中級のグループに位置づけられています。栄養価として特に多く含まれているものはありませんが、東洋でも西洋でも玉ネギは薬草としてさまざまに利用され てきました。玉ネギを切ると出てくる刺激成分は水に溶けやすいので、水にさらせば刺激が 和らぎます。

貧なる父
玉葱噛んで気を鎮む 
西東三鬼

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」466号(2024年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。