正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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三密

「密集・密接・密閉」の三密によって、
新型コロナウイルス感染症の集団感染の発生リスクが高まることは、みなさんご存じのとおりです。
今はもちろん、三密は避けるべきものです。
ですが、絶対なくなることのないものと感じます。
なぜなら、本来人が幸せを感じるのは「三密」と思います。
幸せは、決して一人でなるものではない。わかりあえる人がそばにいて、
人の温もり暖かさを感じる幸せ。まさに、密であればこそのもの。
この時、幸せホルモンの「セロトニン」が分泌され脳内で働きます。
これが感情のコントロールや神経の安定に関わってくるのです。
これまでは大震災や台風などの自然災害や大きな事故によって困ったときに、
私たちは手に手を取って励ましあって、乗り越えてこれたのだと思います。
今回の騒動で質の悪いのは、手を取り合うことができないこと。
セロトニン不足になりやすい状況になっています。

セロトニンは脳内で活性化して、元気を心と体に与えてくれます。
セロトニンが活性するのに必要なことは3つあります。
ひとつ目は、日光を浴びること。網膜の刺激がセロトニンの分泌を促します。
朝起きたら、まずは朝日を浴びることです。
次に効果的なのは、繰り返しの歩行や呼吸、あるいは噛むことです。
リズムに乗って歩くこと、音楽を聴きながら歩くのはおすすめです。
リズミカルな呼吸もよいです。朝の散歩は音楽を聴きながら、それに合わせて歩くのはとても良いです。
また、ガムをくちゃくちゃ噛むことは、リラックス効果があります。
野球選手がガムを噛みながら試合をしているのは、そのためです。
最後のひとつは、スキンシップです。
直接的なスキンシップはもちろん、おしゃべりも良いです。これが三密でできないのです。
コロナに打ち勝って、みんなで幸せだと大きな声で叫ぶことができたなら。
早くワクチン接種がすんで、この渇いた何となくぎすぎすした状態から解放されると良いなあと思います。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」425号(2021年5月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。