正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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心 折れないために

もう少し、あと少しと言いながらも、なかなか終わりの見えないコロナ禍。
嫌気がさしたり、不安になってしまったり。
生活がじわじわ蝕まれている、そんな気持ちになっているかもしれません。
その一方で、この騒ぎに動ずることなく、うまく適応して新しいことを始めている人もいます。
この差はどこからくるのでしょうか。

うまく適応できる能力を「レジリエンス」といいます。
もともとの意味は、復元力や回復力、弾力です。
心理学や精神医学では「自発的治癒力」として、注目しています。
ストレスの多い社会の中で、目標に向かってすすもうとするほど、多くの困難な状況にぶつかります。
けれど、レジリエンスによって、困難な状況を克服し、適応していくことが期待できます。
もちろん、レジリエンスの力を一朝一夕で高めることはできません。
どんなことなのか知っておくことは、ためになるはず。
レジリエンスの研究からは、レジリエンスの高い人には、いくつかの特徴があることがわかっています。
ひとつ目は、感情をコントロールできること。目の前の状況に一喜一憂しないということです。
自分の感情に振り回されずにいると、物事の本質と向き合うことができるようです。
2つ目は、自分の力を適切に評価できることです。
過小評価せずに、最初から自分には「無理」と決めつけず、いつかできるだろうという思考は、
様々な困難を前向きにとらえ、不安を蹴散らす強みになります。
3つ目は挑戦する姿勢です。困難にぶつかり、失敗を繰り返しても、
「少しでも成長している」と思うことが大切です。常に、挑戦していく姿勢を作ってみることです。

そのためには、様々な物事や人に興味や関心を持つことです。
これまでとは違うこと、変わったことや新しいことを拒否するのではなく、一旦は受け入れてみる。
そうすると、将来の可能性が出てくるからです。
いろんなものを受け入れるために、人とのつながりを深めることにもなるようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」426号(2021年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。