死にたい理由
松平健さんの奥様が、自宅のドアノブを使い、首をつって自殺されたニュースがありました。かわいい年頃のお子さんがいて、夫の仕事も順調で何も不自由のなかったはずの家族に何があったのか。パニック障害だったそうですが、生活の変化の中で少しずつバランスが崩れ、疲れがたまったのかもしれません。
昨年も日本の自殺者の数は32千人をこえました。前年より1.8%の増加だそうです。このうち、男性が70%以上を占めています。年齢別にみると、50代が最も多く約20%を占め、次いで60歳代となっています。特定できた原因・動機のうち「失業」や「生活苦」が増えていますが、健康問題にあるものが最も多いものでした。うつ病が最多で、2007年から3年連続トップとなっています。
うつ病等の対策が自殺対策の中核になるようです。国は今年1月自殺・うつ病対策プロジェクトチームを立ち上げ、誰もが安心して生きられる温かい社会づくりを目指すと掲げています。ですが、日本では自殺をタブー視する傾向が強く、精神科受診に抵抗のある人がまだまだ多いのが現実です。うつ病に対する認識も低く、周囲の理解不足のために自殺が起きてしまう場合も多いのですしたがって、うつ病の方が早期に気づき、専門的な医療機関にかかることができるよう、うつ病に関する一般の普及啓発や、地域の保健医療体制、職場のメンタルヘルス対策等によるうつ病の早期発見が必要です。うつ病は、誰でもかかる可能性のある病気です。適切な治療を継続することによって、症状はかなり安定し、軽快や治癒する病気です。誰もが自分自身の問題としてとらえることが必要で、そうすることが理解につながります。
身近な人に、「死にたい」といわれたら動揺してしまうかもしれません。がんばれとか、大丈夫と元気づけようとしたり、お説教をしてしまうかもしれません。これはあまり良くありません。まずは、話をよく聞くことです。そして、あなたがいなくなったら私は悲しいという気持ちは伝えておきましょう。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」300号(2010年12月6日発行)に掲載された記事です。
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