正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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今、考えるべきこと

この度の東日本大震災により被災されました皆様には、心よりお見舞い申し上げます。また、犠牲になられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます。

被害は想像を超える大きさで、被災地から離れた地で、何もできない自分の無力さを痛感する日々です。今の自分にできることが、この災害にとって、どれほどのものかと思うと、ただただ途方に暮れるばかりです。けれど、微力であってもできることをやるしかないのだと思います。

二転三転し続ける原発の状況、不安や心配、疑心暗鬼が払拭できず、信用しきれない思いが強くなります。なぜなら、私たちは家族を守らなければならないからです。

当たり前の生活、家族や友達がいること、好きなことを好きなようにできること、働くこと、これらがどれだけ、幸せなことだったのか、私たちは気がつきました。自然がどれだけ私たちを癒してくれていたのか。そして、その自然の恐ろしさを痛いほど知りました。

そんな中、子どもたちの元気な姿に胸をうたれます。世界が日本を見守ってくれていることに感動します。私たち大人は、茫然としているわけにはいかないです。次の段階にすすまなければならないときと思います。

復興のために、何が必要なのか。何ができるのか。まずは、普通の生活をする努力が必要だと思います。普通の生活とは、楽しいことを楽しいと感ずること。未来に夢を持つことです。ですが、これはなかなか難しいのです。なぜなら、私たちは心苦しいとかうれしいとか、安心できるといった、感性を大切にします。こんなときに、こんなことをしていて、いいのだろうか。この考えが、行動を躊躇させます。

けれど、私たちには未来があります。その未来は、自分の大事にするものや価値観にそって生きていくという当たり前の積み重ねです。あわてる必要はありません。じっくりと各自で判断しながら、今何をすべきか考えるときなのだと思います。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」304号(2011年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。