正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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長く座っていると

座って過ごす時間が長い高齢女性は、活動的な人に比べて、死亡の危険性の高いことが大規模な長期間の研究で示されました。これはアメリカのコーネル大学での研究結果ですが、アメリカの高齢女性9万3000人を12年以上追跡したデータを分析したものです。1日11時間座っている、あるいは静かな活動で過ごしている女性は、座っている時間が1日4時間以下の人に比べ、さまざまな原因による死亡の危険性が12%高いことが判明しました。また、静かな活動の人は、循環器疾患、がん、冠動脈性心疾患で死亡する危険性がそれ以上に高いことがわかりました。

どんなに長時間座って過ごしても、体力があって運動していれば、それほど問題ないと考えられていました。しかし、この結果はそうではありませんでした。

女性は35歳から筋肉がやせて、その量の低下がみられます。閉経すると、さらに加速します。定期的な運動、特にウエイトトレーニングでは筋力低下の影響を予防できますが、生活の中で日常的に体を動かすようにすることも重要だということです。筋肉も使わなければ、失われます。電化や便利グッズなどのさまざまな便利さは、効率を高めるものです。しかし一方で、活動性の低下や能力の衰えをもたらしています。特に、女性は継続的に活動的になる方法を見つける必要があるようです。

高齢になる前に、中年期、あるいはもっと早くから始めておくと、大きな差になるといわれています。仕事中でもこまめに立ち上がって歩き回ることは、集中力を維持するためにも効果的です。

家庭でも、テレビのコマーシャルのたびに、インターネットの途中でも立ち上がるなど、長時間の座っている姿勢を意識して中断するようにすると良いでしょう。

他にも、座っている時間が1日に合計6時間以上になると、3時間以下の人に比べて、男性で死亡率が約20%高く、女性では約40%高くなる結果が出ています。

さて、今日は何時間座っていましたか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」339号(2014年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。