正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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正しい???減量の方法

急な減量は体に負担が大きい。緩やかな減量がもっとも有効である。そんな風に言われていることが多いですが、この考え方に疑問を投げかけた研究があります。オーストラリアのメルボルン大学での研究です。

糖尿病の予防や腰痛、膝痛などのために減量が進められます。そのほとんどのガイドラインは、体重管理には急激な減量よりも緩やかで着実な減量の方法が進められています。その理由は、急激な減量は急速なリバウンドにつながると信じられていることを反映しているためです。

そこで今回紹介する研究は、200人の肥満成人を2つのグループに分けて、急激減量と緩やか減量の比較をしたものです。緩やか減量は、1日のカロリー摂取量を500カロリー減らす36週間の減量プログラム。急激減量プログラムは、1日450~800カロリーの低カロリー食をとる12週間のものです。

結果は、全体として急激な減量群では81%、緩やか減量群では50%が、もともとの体重の12・5%以上減量に成功したそうです。その後、両群とも3年間の体重維持食を取って経過を見ています。両群の3年後は、減量速度に関わらず、減量した体重の約71%が戻っていたそうです。減量では、急激な減量の方法のほうが目標を達成する可能性が高く、脱落者が少なかったと報告されています。

結局は、やせる特効薬はありませんし、運動だけではやせられません。食事を制限することが必要ですが、栄養バランスを考えたものにしなければ、場合によっては引き締まったというより、干からびた体になってしまいます。また、減量に成功した後は、維持するための努力が大切です。年齢も体重を維持することができるかどうかを左右します。基礎代謝が減るからです。

自分にあった減量法をいかに見つけ、楽しく挑戦することができるか。これに尽きます。継続すること、そのために何ができるかがもっとも大切なようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」347号(2014年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。