正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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花粉の季節

少しずつ暖かになるにつれ、気になってくるのが花粉。毎年花粉症に悩まされている方は多いと思います。いまだ雪の舞う北海道ですが、あなどれません。

花粉症は、体内に花粉が入ってきたときに、それを排除しようとする「免疫反応」によっておこるものです。排除の方法がくしゃみや鼻水、鼻づまりであり、強く出てくると辛い症状に変わります。

高齢者に花粉症が少ないといわれています。その理由は、若い時に花粉の飛散量が少なかったことや、食生活が和食中心であったためアレルギー体質になりにくかったためかもしれません。さらに、花粉症に悩まされた人も、年を取るにつれて花粉症症状が軽くなる場合があります。それは、老化による免疫機能の低下のためと考えられています。

つまり、免疫反応が低下することにより、花粉に対するアレルギー反応が弱くなる、排除する力が低下する。そのため、花粉症の症状が出なくなるというわけです。もちろん、個人差があるため、年を取ればみんな症状が軽くなるというものではありません。花粉症発症のピークが40代というのは、これらのことから説明が付きます。

一方で、高齢者の場合、花粉症と間違えやすいものがあります。老人性鼻漏といわれるものです。花粉症の鼻水は透明でさらさらです。加齢が原因で起こる鼻水も同じようです。こちらは粘膜機能が低下した場合起こりやすいものです。粘膜機能が低下すると、粘膜が持つ水分を吸収する力も弱くなるため、水っぽい鼻水になるのです。一見すると同じような症状です。

どちらにしても、簡単に判断できませんので、早めに専門医に相談することをお勧めします。原因と症状の度合いによって対処方法は違います。ご自分でできる予防としては、花粉にしてもホコリにしても、原因となるものを少しでも体に入れないことが必要です。マスクは有効ですが、外出後はすぐに顔を洗うことをお勧めします。また、睡眠不足を抑えることも必要です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」387号(2018年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。