正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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エコロジー

二十世紀中盤にかけて、工業化の発展が自然環境に大きな影響を与えました。地球環境問題がブームのように取り上げられ、エコロジー運動といった言葉が使われています。

エコロジーとは、狭義には生物学の中の生態学のことをさしますが、現在は広くとらえられています。生態学的な考えを文化や社会、そして経済的な思想や活動を指す言葉としても使われています。「地球に優しい」はエコロジーのキーフレーズにもなっています。

地球温暖化の問題が取りあげられている現在、温室効果ガスの削減が重要課題となっています。フロンガスの温室効果は高いものですが、その規制は私たちにとっては難しいことかもしれません。環境省では、「一人一日一kgCO2削減」をうたっています。一kgのCO2、どれくらいかわかりますか。サッカーボール一〇〇個分の体積に相当するそうです。

CO2は目に見えないので、削減といわれてもなかなか難しいのですが、そんなことを言っていられない現状にあるのも事実です。人類の生存に関わる問題になってきているので、その点で「持続可能な開発」や「環境保護」の流れは私たちの進むべき方向を示していると言えます。

私たちは呼吸により毎日排出しているものですから、生きている限りCO2をゼロにするというわけにはいきません。けれど、健康に快適に暮らすとき、地球環境との循環ができてきます。まずは自分から健康を考えることです。これがエコにつながります。運動を続けると、過剰の暖房や冷房に頼らなくても温度調節の利く身体になります。これはCO2削減につながります。健康な体になれば、近距離の移動や外出には車やバスの利用を徒歩や自転車に変えることが出来ます。免疫力がつけば、余計な薬もいらなくなります。CO2の削減は、余分なものを持たずに、あるいは使わずにすむ自分の強さを身につけることで、個人が参画できることといえます。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」271号(2008年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。