正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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美味しいものは脂肪と糖でできている

美味しいものを我慢せず、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにするトクホのお茶のコマーシャルだったと思います。効果の実感は個人差があるのでしょうが、それでも内蔵脂肪と皮下脂肪を減らすなんて、コピーについつい期待してしまいます。

そんな私ですが、最近は皮下脂肪よりも血糖値が気になります。糖尿病予備軍といわれ、食べ物や運動に気をつけてはいますが、なかなか手強い。

血糖値の上がる原因は食事に含まれる「糖質」ですが、糖質は栄養素の中で最も有効なエネルギー源であり、脳のエネルギー源でもあります。最近では糖質を抜くダイエット法も注目されていますが、極端に糖質を摂らない食生活は危険です。食事は本来血糖値を上げ、生命維持に必要なエネルギーを補うためのもの。もちろん、血糖値が急激に上がれば糖尿病、肥満につながることは事実です。だからこそ、急激な上昇を抑えるにはどうするべきかを心がける必要があるのです。

血糖値の急上昇を抑えるためのポイントは、毎日の食事のしかたや生活習慣にあります。

まずは、よく噛んでゆっくり食べること。時間をかけて食べることで満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぎます。また、よく噛むことでインスリンの分泌が促進されるというデータもあります。

次に、食べる順番を工夫すること。空腹時に糖質の多い炭水化物を食べると血糖値は一気に急上昇します。そこで、食物繊維の多い野菜・海藻・きのこなどからとり、たんぱく質(肉、魚、卵、大豆など)、最後に炭水化物(ご飯、パン、麺類など)の順に食べることで、血糖値の上昇が緩やかになります。主菜でたんぱく質、副菜と汁物で野菜や海藻を摂るなど、バランスのよい食事を心がけましょう。

最後に、適度な運動を心がけること。有酸素運動は体重や体脂肪を減らすだけでなく、インスリンの効き目を良くする効果があるといわれています。無理のないウォーキングや自転車など、とにかく続けることが大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」473号(2025年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。