正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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夜に何度も尿意で起きる

夜に、尿意で起きることが増えました。年を取ったためとか、加齢だとか言われます。確かにそうかもしれませんが、気になるところ。膀胱機能は加齢によって低下します。肥満や下半身の筋力低下も原因になります。

1日の平均した排尿回数は5~7回だそうです。本来は、夜間は尿の生成を抑えるホルモンが分泌されるために、何度も尿意を感じて起きることがないように、人の体はできています。尿意は日中に生じ、夜はぐっすり眠るためです。

夜間の頻尿に伴って息苦しさやむくみなどの症状を伴う場合や強い喉の渇きがある場合、十分な睡眠が取れずに体調に異常をきたしている場合などはできるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。

けれど、夜間に尿意で起きるという経験は誰にでもあるでしょう。回数が少なければ、特に問題にはなりませんが、頻回に目を覚ますのはストレスです。精神的なストレスや過度な疲れは交感神経を過剰に刺激し、睡眠障害を引き起こすことがあります。眠れないから尿意を感じる、ということも少なくないです。夜間の尿意が気になること自体がさらなるストレスや疲れにつながることもあるため要注意です。

ストレスや疲れをためないためには、日頃から十分な休息や睡眠をとるよう心がけ、ストレスと疲れをためない生活を送るようにしましょう。また、夢中になれる趣味を持つ、体を動かすなどストレスを発散できるような習慣を身につけることも大切です。

高齢者を対象とした研究に、適切な時に規則正しく眠る生活を送ることで、夜間の頻尿改善の可能性を示す研究があります。個人にあった適切な就寝時刻を見つけ出し、生活習慣を整えていくという福井大学の研究です。対象の多くは、就寝時間を遅らせる結果になったようです。この研究の結果は、夜間頻尿の高齢者は最適な就寝時刻よりも早く寝ている傾向にある可能性が高い、というものでした。最適な就寝時刻を見つけたいものです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」475号(2025年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。