正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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お灸の話

     - 鍼灸治療

9日は はり・きゅうの日です。
はり・きゅうは2000年以上も前の中国が発祥といわれています。
日本に伝わったのは奈良時代で仏教とともに伝えられました。
それ以来、明治政府によって日本の医学を西洋医学にするという決定までの約1000年の長きにわたり
漢方とともに長く日本の医療を支えてきました。
特にお灸は民間療法として庶民の生活に密着していました。
今回はお灸についてお話ししましょう。

お灸をするにはもぐさを使います。もぐさは何からできているのでしょう?よもぎです。
梅雨が終わり、よもぎの花が咲く前に刈り取ります。
乾燥して、臼でくだき、葉や茎を取り去るという作業をくり返していくと、
やがてほんの少しのフワフワの綿毛だけが残ります。これがお灸に使うもぐさなのです。
乾燥したよもぎ200gからたった1gしかとれない貴重なものです。
1976年に紙パルプの台座に細くロールしたもぐさを固定した台座灸が作られる以前は
皮膚の上に直接もぐさを立て火をつけるという方法がとられていました。治療のためとはいえ熱いです。
このため、厳しく戒めることのたとえとして「灸を据える」という慣用句が使われるようになりました。
しかし、お灸=厳罰というイメージはいかがなものかということで
日本鍼灸師会が各方面へ働きかけ今では使われることが少なくなりました。

最近では、お灸は自宅でできるセルフケアとして女性から関心を持たれています。
当院でもコロナ以前は定期的にお灸教室を開催していました。
ドラックストアやネット通販でお灸は買えます。
使用方法も箱の裏に書いてありますしネット上には動画もあります。
けれど、どれくらいの熱さを感じるといいのか?
ツボの位置はここでいいのか?と不安になり挫折されるかたが少なくありません。
お灸教室ではそのような不安や疑問にお答えし、その方に適した熱さのお灸、ツボの位置、
ライターを使ってお灸への点火、火の始末までお伝えしています。
コロナが収束しましたらまた皆さんとご一緒にお灸を楽しみたいものです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」428号(2021年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。