読書週間に思う
- 鍼灸治療
去年の未来11月号にも読書週間ということで本屋を歩き回ること、紙の本をめくる楽しさ、面白い本のページの残りがあと少しというさみしさ楽しさについて書かせていただきました。
今年の夏にちょっとこの考えにかたに変化が起きることがありました。今年の上半期の芥川賞を受賞した市川沙央さんの受賞作品や受賞後のコメントを読んで「本」というもののカタチについて、いま一度考えさせられました。市川沙央さんは先天性ミオパチーという筋力が低下する病気を持っています。受賞作品「ハンチバック」の中に次のような表現がありました。「私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、―5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない『本好き』たちの無知な傲慢さを憎んでいた」
衝撃を受けました。まさしく無知で傲慢な私でした。本を選びに本屋へ出かけることや紙の書籍など、昔からの方法がよいということにこだわりすぎていたと思います。そのぶん電子書籍の持つ裾野の広さや利便性を必要としている人たちへの心配りが足りなかったと思いました。
ふたたび、読書週間の時期がめぐってきました。いろいろな媒体を活用し秋の夜長、読書をたのしみましょう。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」455号(2023年11月6日発行)に掲載された記事です。
著者 ●鍼灸師 |
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