正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ボリボリ

     - 鍼灸治療

先日、友人から「ボリボリ食べる〜?」とメールがきました。「食べるよ〜!」即答です。
父が元気な頃は毎年、当然のように秋には食べていました。父から食べられるキノコや山菜をきちんと教えてもらっておけばよかったなぁ・・・。数年ぶりにお味噌汁でいただきました。

「ボリボリ」の正式な名称はキシメジ科ナラタケといいます。ブナ、ミズナラ、コナラ、クヌギなどの広葉樹、アカマツ、カラマツなどの針葉樹の倒木、切り株、枯れ幹、生木の腐朽部、埋もれ木などに群生します。

北海道では「ボリボリ」といわれていますが日本各地でいろいろな方言でよばれているようです。青森ではサモダシ・ナラブサ・ナラモタシ、埼玉ではナラセンボン、神奈川ではクリキモタシ・コゴリサモタシ、兵庫ではユタケなどと呼ばれています。

「ボリボリ」と呼ばれるのはなぜかしら?と調べてみました。採るときに茎がボリッと折れるからとか食べるときの食感がボリッ、ボリッと聞こえるからなどの説がでてきましたが定かではありません。

いただいたボリボリの土や枯葉などを取り除いていたとき、あ〜これは・・・と気がついたことがあります。ボリボリの香りがアロマテラピーで使うエッセンシャルオイルのオークモスの香りにとっても似ているのです。オークモスは楢(なら)の樹皮に生えるツノマタゴケから抽出するオイルです。秋の森や林の腐葉土を踏みしめて歩いているときの香りがします。華やかな香りではありませんがとても落ち着く香りです。アロマテラピーの勉強の中で初めてオークモスの香りを嗅いだとき、懐かしく落ち着いた気持ちになったのは幼少の頃からボリボリなどの森や土の香りを伴ったキノコに触れていたからかもしれません。

マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」のエピソードをあげるまでもなく香りは一瞬にして遠い記憶を蘇らせるチカラがありますね。

皆さんにとって懐かしく、しあわせな香りってどんな香りでしょうか?


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」358号(2015年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。