正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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病、膏肓(こうこう)に入る

     - 鍼灸治療

物事に熱中して抜け出せなくなった状態を指して「病、膏肓に入る」と申します。私は不勉強でして、東洋医学を学び始める前は「病、膏盲(こうもう)に入る」だと思っておりました。中国の春秋時代の史伝説書のなかに次のようなエピソードがあります。

晋の国の景候が重い病気にかかり隣国の名医に来てもらうことになりました。待つうちに景候の夢の中で〝病〟が二人の童子になって話し合っていました。「今度くるのは名医だから僕たちは危ないな、どこへ逃げ込もうか?」「そうだな、肓の上、膏の下なら名医といえどもどうにも出来まい」名医が到着して景候を診て「病は肓の上、膏の下に入り込んでいます。ここは薬も鍼も至らないところです。天命と思し召しください。」と言い、その後景候は昇天していまいます。

中国の古い医書によりますと肓とは横隔膜を指し、膏とは心臓を指すそうです。このエピソードは体の深部に入り込んだ病は治りにくいことのたとえかと存じます。

ツボの名称にも膏肓という名前を持つものがあります。肩甲骨の内縁にあり肩こりのつらい方は、あ~、あそこだなと思いあたるところです。肩の上部にある肩井などに比べ手が届き難いため自分で押したり揉んだり出来ないのではがゆい部位です。エピソードとは異なり鍼も灸も至るところですのでどうぞご安心を。特に灸がよく効きます。

【膏肓・こうこう】

背中の第四胸椎棘突起のすぐ下から左右両右側四指 分のところ
効能・・肩こり、冷え

【肩井・けんせい】

首の根元から肩先までの真ん中のところ
効能・・肩こり、首のこり

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」258号(2007年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。