アオキ
雪降りし
日も幾度よ青木の実
中村汀女
アオキは寒さに強いばかりでなく、スモッグ、日陰、湿地などにも耐えるので、
環境条件のよくない都会地の庭園や公園などには、最適の常緑樹といえます。
真冬、凍てついても枯れない濃緑色の葉隠れに、
真赤なつやのある俵形の果実をのぞかせるアオキには、どことなく風情を感じます。
拙宅の小さな庭の片隅で、駄木あつかいされたままになっている斑入りのアオキですが、
私の気に入った観葉兼実物花木の一つです。
アオキの広い葉は、牛や馬のよい飼料となります。
九州方面ではヤマタケとかヤマダケと呼んでいるところもあります。
アオキの葉には、オークビンなどの配糖体とクロロフィル(葉緑素)が含まれています。
昔から民間療法として、生葉を火にあぶり、とろとろに軟らかくしたものを、
おできや腫れ物、軽いやけどなどの患部に塗布する方法が行なわれています。
私の田舎では、葉の搾り汁を患部につけると、うみがよく出て早く治り、
やけども痛みがおさまるし、凍傷や、静脈のうっ血にもよいということで、
よく使われていたことを覚えています。
冬、赤く熟したアオキの実は、一見、小型のリンゴを思わせますが、
しかし、オークビンなど苦い配糖体を含んでいますので食べられません。
子供が誤って一、二個食べた程度なら、下痢ぐらいですみますが、大量の場合は害になります。
この苦味配糖体は、葉にも含まれていますので、
生葉は外用薬として用い、内服するのは避けたほうがよいでしょう。
今、欧米では観葉植物として大人気だそうです。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」218号(2004年2月5日発行)に掲載された記事です。
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