オオバコ
オオバコのことを中国では、牛や馬の通る道端に多いところから車前草(シャゼンソウ)というように、
車や人間が通らなくなると、しだいにオオバコも消えていきます。
オオバコは日本全国、どこにも野生している多年草です。
水車みち車前草はやく濡れにけり
飯田蛇笏
オオバコの種子は水気をおびると粘りが出て、靴の裏などについて、
牛馬や人とともに広がるもので、いわば人間臭い雑草です。
どんな深い森や高い山でも、人の歩く道があるかぎり、
オオバコの生えていないところはないといわれるほど、
雑草中の雑草として名を知られているのがオオバコです。
オオバコの葉を火に炙って指先で軽くもむと、
その部分の表皮が、丸くふくれ上がる性質がありますが、
各地でカエル葉といったりする方言が多いのは、
その様子がカエルの太鼓腹に似ているからかも知れません。
昔から生葉を火で炙り、柔らかくもみ、
腫れ物の吸出しや、切り傷の患部に当てて、広く用いた民間薬の代表です。
オオバコの種子を漢方では車前子(シャゼンシ)といい、
煎じて飲むと鎮咳、去痰、鎮痛、胃腸病、
下痢止め、利尿、止血などに効くといわれ、結構用いられていたものです。
成分はアウクビン、プランタニギン、ホモプランタニギンなどが含まれています。
採取、調製は次のようにします。全草を採るには、
7~8月の開花期に抜き取り、水洗いして、風通しのよい場所で陰干しします。
この全草の干し上がったものが車前草です。
開花が終わり、花穂が茶色になったころ、果穂を刈り取り、莚に2~3日干して、
臼に入れて軽くつくと、果皮と種子が分離して、黒褐色の種子が現れます。
それを風選して種子だけ取り、これをさらに日干したものが車前子です。
車前草も人のくすりに谷涼し
宇佐美魚月
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」224号(2004年8月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
|
略歴 |