正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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トマト

     - クスリになる食べ物

野菜の中でも、世界で最も多く食べられている野菜はトマトといわれています。原産地はジャガイモと同じく南米のアンデス高原で、比較的ひんやりして、涼しいところを好むナス科の野菜です。

我が国へは最初観賞用として伝わりましたが、食用として知られるようになったのは明治に入ってからです。現在ではポピュラーな果菜類ですが、日本での本格的な栽培は昭和になってからです。

わが国では熊本県が最大生産地といわれますが、冷涼な気候を好む野菜なので、冬期を中心とした涼しい時期の栽培が中心です。熊本県に次いで生産量が多いのは北海道です。日高の平取町のトマトは広く知られています。熊本県とは逆に夏から秋にかけての収穫が中心となります。

トマトは健康野菜としても脚光を浴びています。主な成分は、炭水化物やペクチンですが、クエン酸、リンゴ酸、ビタミン、ミネラル、アミノ酸も含まれ、栄養バランスも良く、特に健胃、高血圧、肝臓病に効果が認められ、栄養補給や補助療法に用いられています。また、二日酔い、皮膚の健康などにもよい野菜にあげられています。ヨーロッパには「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がありますが、トマトはビタミン類に富んでいて、トマトが赤く熟すころには病人が少なく、医者にかかるものが少なることからいわれたものです。これはトマトに含まれる赤い色素であるリコペンと呼ばれる成分で、高い抗酸化作用があります。

栽培が盛んなイタリアでは「黄金のりんご」などといって、イタリア料理には欠かせないもの。イギリスでは「愛のリンゴ」、ドイツでは「天国のリンゴ」と呼んでいます。品種には赤色系・桃色系・黄色系などがありますが、生食用としては桃色系が主で、おもな品種として桃太郎があります。桃太郎は完熟型のトマトで、甘味・酸味のバランスの良い品種といわれています。

子供のころは、トマトの青くさ味がいやでなかなか食べられなかったものですが、大人になるとなぜか舌がうまさを感じてくるものです。いまは小さい子供でも美味しく食べられるように改良されて、一年中店に並んでいます。

一片の
トマト冷たきランチかな
野村喜舟

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」438号(2022年6月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。