莢エンドウ
莢エンドウはエンドウの若いサヤのこと。ヨーロッパでも、各地の石器時代の遺跡からエンドウが発見されています。コーカサスやペルシャあたりからの民族移動に伴って、ヨーロッパに伝わり、早くも古代ギリシャやローマ時代には栽培が行われていました。
日本へのエンドウの伝来は9世紀~10世紀といわれていますが、しかし莢エンドウを食べるようになったのは江戸時代からで、収穫初期に若莢を食べ、次にグリンピースとして料理に使い、最後に完熟豆を穀物として収穫していました。
莢エンドウは、スナップエンドウやサヤインゲン・ジュウロクササゲなどと同じく、未熟な豆をサヤごと利用するサヤ豆の仲間です。サヤ豆の栄養価は豆類の特徴を持ち、いずれもタンパク質、カロテン・B1・B2・Cなどのビタミン、カリウムや食物繊維などが豊富で、野菜としては栄養価が高い。
莢エンドウはサヤ豆の仲間でも栄養価の高いほうで、特にタンパク質とビタミンCが多い。タンパク質は100gで卵2分の1個分、牛乳100ml分と同量含まれる。一度に100gは食べないにしろ、野菜としては多い量です。
ビタミンCの含有量は100g中60mgで、イチゴに近い。Cは抗酸化性ビタミンで、細胞の酸化を防ぐ作用によってガンや老化を予防する。Cは水に溶け、加熱で減少するので、ゆですぎや煮すぎないようにします。
カロテンも比較的多く、トマトとほぼ同量。料理の彩として少し使うだけではなく、卵とじや炒め物・サラダなどに用いると、いろいろな栄養素の給源になります。
莢エンドウは周年栽培されていますが、生産が最も多い5月~6月が一般的な旬といえます。しかし、北国の夏の太陽をいっぱい受けた夏どり(七~九月)の絹莢エンドウには、ビタミンなどの栄養素以外に、自然の息吹がこもっています。
野菜博士の故相馬暁先生は「絹莢を選ぶポイントは、莢の緑色が濃く、折るとぽきっと音がして折れ、折り口から水分がにじみ出るくらいのものが新鮮です。また、絹莢エンドウは板ざやとも呼ばれるように、莢が薄くて豆の形が表面にあまり浮き出ていないものがよいものです」と述べています。
きぬさやを
さっと炒めて朝の皿
長谷川 櫂
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」440号(2022年8月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
|
略歴 |