ヤマイモ・ナガイモ
ヤマイモとナガイモはどこが違うのかと聞かれることがあります。調べていくと、なるほどヤマイモの名称、分類で、呼び名が、それぞれ違いますので、混乱してしまいます。ヤマイモは、昔は野生で山野に生えたものしかありませんでしたが、いまはほとんどが栽培種です。
ひと口にヤマイモといっても、世界中で約600種のヤマノイモ属の野生種があり、日本はその北限の地です。山野に自生している自然薯(じねんじょ)、栽培種のナガイモ、サトイモ、ヤマトイモ、黒くて丸いツクネイモなどがあります。形も棒形、ばち形、いちょう形といろいろです。
ヤマイモは、中国南西部高地・雲南地方が原産地で、三世紀頃から栽培されるようになったといわれます。日本へは奈良時代までに朝鮮から伝来していたとされますが、古事記と同世代の古書にダイコンやゴボウ、ニンジン、ネギなどの野菜に混じってヤマイモ、サトイモも登場します。
ただし、日本の山野には以前からヤマノイモ(自然薯)が自生しており、それを古くから利用していたと思われますので、記述に混同の恐れがありますから、ヤマイモ伝来の時期は明らかではありません。しかし、平安時代の「和名抄」には、既に野生種(ジネンジョ ヤマノイモ)と栽培種(ヤマイモ)が区別されています。
ヤマイモ類は強い粘りを持っているのが特徴で、この粘性を利用してとろろを作るので〝トロロイモ〟ともいいます。ヤマイモはでんぷん分解酵素のジアスターゼ、糖質分解酵素のアミラーゼなどを多く含みますので、胃腸の弱い人でも消化が良い食べ物です。また、タンパク質の含有率もイモ類の中では飛び抜けています。ヤマイモ特有のヌルヌルした成分は、水溶性の食物繊維の一種であるペクチンと糖たんぱく質などによるものです。水溶性の食物繊維は糖尿病・高コレステロール血症・高血圧などの疾病の予防に役立つとされています。カタラーゼという酸化還元酵素を豊富に含んでいますが、この酵素は、活性酸素を解毒する働きがあります。
薯蕷掘って入日に土の香寒し
高田蝶衣
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」444号(2022年12月5日発行)に掲載された記事です。
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