正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ミツバ

     - クスリになる食べ物

ミツバは数少ない日本原産の野菜の一つです。北は北海道から南は沖縄まで、日本中どこにでも、野生のミツバは分布しています。葉先がぎざぎざとして3つに分かれているのでミツバ(三つ葉)と呼ばれるようになりました。

セリ科の野菜ですが、セリほどクセがなく、品の良い香りとさわやかな歯切れ、吸い物の彩だけにしておくのは惜しい野菜です。お浸し、和え物、茶わん蒸し、土瓶蒸し等など、日本料理には欠かせないもの。

中国では古くからミツバを食用にしていましたが、日本では、同じ仲間のセリが、春の七草の筆頭として、古代から食べられていました。しかしミツバは、どういうわけかずっと後年になってから、食べられるようになったようです。セリは平安時代の「和名抄」に記載されていますが、ミツバは登場しません。江戸・元禄時代に書かれた貝原益軒の「大和本草」には、「三つ葉は、昔は食べることを知らず、近年になって食べるようになった」とあります。おそらく、室町時代以降に食用として、利用され始めたのでしょう。

特有の強い香りは料理の味を引き立てる薬味として用いられますが、食欲増進や鎮静作用などの生理作用があるとされています。ニンジンをはじめとするセリ科の野菜は、抗ガン性物質や白血球を増加させて免疫力をアップする因子などを含み、ガンの予防が期待されています。

ミツバの香り成分はクリプトテーネン、ミツバエンなどで胃もたれを解消する作用がありますが、ミネラルが豊富な緑黄色野菜ですから、ミツバの成分や栄養素が総合的にガン予防に役立つものと期待されています。

ガン予防効果のあるカロテンがいずれの種類のミツバにも多く含まれています。また、カリウムが高血圧の予防や改善によいといわれていますが、根ミツバと糸ミツバには鉄やマグネシウム、ビタミンEやKも多く含まれています。

ミツバを食用にしているのは日本と中国だけです。栄養豊富な野菜ですが、上品な香りを楽しむ日本料理の名脇役としても、大切にしたい野菜の一つです。

味噌汁に三葉芹泛く養生期
池田秀水

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」446号(2023年2月6日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。