正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ふき

     - クスリになる食べ物

フキは、苳また款冬(かんとう)と充てていますが、款はたたくで、寒い冬に凍った氷を叩き割って出てくるという意味です。昔の人はこんなに強い植物だから薬になると考えて、葉や花や根を煎じて、その汁を飲んで健胃剤にしたり、解熱剤や下虫剤に使ったりしたものです。葉をもんで傷口につけると早く治ることや、葉の搾り汁は血止めになり、毒虫にさされたときは葉をもんでつけるなど、よく用いられたものです。

フキの原産地は樺太(からふと/サハリン)・千島である、という説と、フキは数少ない日本原産の野菜の一つである、という説があります。フキは生えるところによって形や色が違うので、ヤマブキだとかサワブキなどと生えている場所で名前をわけたり、アカブキ、アオブキと茎の色で区別したりしていますが、種類はみな同じアキタブキなのです。

きゃらぶきという料理がありますが、茎を醤油でキャラ色になるまで煮しめたものです。キャラは梵語で、香木の名。キャラ色は濃い茶色です。

平凡社の『大辞典』には、「漢名に款冬を充つるも誤りなり」、牧野富太郎『新日本植物図鑑』では「漢名、一般に蕗、款冬などとしているが誤りである」としています。フキは、ハヒロクキ(葉広茎)・ヒロハグキ(広葉茎)ということでフキとなるという説、また、古名フフキが省呼されてフキとなったという説、国語学者の金田一春彦氏は対馬のある部落に泊めてもらったとき、かわやに新しいフキの葉が前の方に置いてあり、中に使用済みのフキの葉が捨ててあったのを見て、フキは「拭き」から来ているといっています。

しかし、諸々の説を総括しますと、古名のフフキからフキになったと考えるのが自然のように思います。フキは、大きな葉の植物なので、風に吹かれるとその葉がゆれます。風は見えないが葉がゆれる。その見えないものを植物に感じて、その植物と風とからフフキ【和名抄(十七)】となり、やがてフキと呼ぶようになったのだろうと思います。

日高 一


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」257号(2007年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。