正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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だいず加工食品②なっとう

     - クスリになる食べ物

だいずになっとう菌を混ぜて発酵させたのがなっとう。糸引きなっとうはれっきとした日本生まれです。江戸時代以降、関東以北の地域でよく食べられるようになりました。

なっとうにはタンパク質をはじめ、だいずの栄養成分がそっくり含まれますが、だいずのままでは体に摂り入れにくいところも、なっとうになりますと消化吸収されやすくなります。良質の栄養が安くていただける有難い食品といえるでしょう。作られて3~4日が食べ頃です。古くなると、ネバネバも少なくなり、味も栄養価も落ちますので、賞味期限内に食べるようにします。

だいずそのものは栄養価が高いのですが消化されにくいのが難点です。なっとうは発酵によって消化が良くなります。煮豆ですと65パーセントしか吸収できないところ、90パーセントにもなります。

また、発酵によってビタミンB2が増えるのも特徴です。食物繊維もさつまいもの2倍以上で豊富ですから、便秘対策や肌荒れ予防にも有効です。

ネバネバしたなっとうの糸は、ムチンなどアミノ酸がつながったもの。ムチンはタンパク質の分解や吸収を助け、胃に入ると、胃の粘膜を保護してくれます。お酒のつまみにすすめたい一品でもあります。酵素のナットウキナーゼが血栓を溶かして、血液をサラサラにする作用がありますので、高血圧症や脳梗塞、心筋梗塞などを予防する効果が期待されます。

長寿村の食生活を調べたデータを見ますと大豆製品をかなり多くとっており、その中でも最も高い比重を占めているのがなっとうです。なっとうは、乳酸菌や大腸菌のような有益な菌に栄養を与えてどんどん繁殖させるので、下痢ぎみの人や、腸の弱い人にとっても、欠かすことのできない食べものといえます。

また、なっとうは同食した他の食品の消化吸収を促進させますので、胃腸病の人、虚弱体質の人、病人などにも効果があります。

納豆に
あたたかき飯を運びけり
村上鬼城

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」473号(2025年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。