正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ウド

     - クスリになる食べ物

雪の下で芽吹いて春を待っていた野草は数多くありますが、「ウド」もそのひとつ。ウドは数少ない日本原産の野菜の一つで、日本全国の山野に自生していますが、古くから栽培もされています。近年店頭に出回っているのは温度25度程度の室(ムロ・穴倉)などで軟白栽培した栽培物が多いようです。野生のものに比べると香りは弱いですが、アクが少なく、扱いやすいです。近年はアメリカでもダイエット食として人気で、ウド・サラダなどと日本語で呼ばれています。

ウドは、栄養的には、低カロリーの食材で、ビタミン類、ミネラル類もあまり多くは含まれていませんが、アク成分としてのタンニンやジ・テルペン・アルデヒド、アルカロイドのホロ苦さは、人にとって食欲を増進し、新陳代謝を促進する効果もあります。

微量成分に旨味成分のアスパラギン酸という体内でタンパク質の合成材料になるアミノ酸があります。アスパラギン酸の生理作用は、新陳代謝を高めて疲労を回復し、スタミナを増強します。また、カルシウムやカリウムなどのミネラルを体のすみずみに運ぶ作用があります。

漢方では発汗・駆風(くふう・腸内のガスを出すこと)・鎮痛などの作用があるとして、リウマチや浮腫・関節痛などに用いられます。また、干したものは入浴剤によいといわれます。

子供のころ、私の田舎では、山ウドの皮をむいたら、それは捨てないで、ちょっと味濃くきんぴらにすると、酒の肴によいものができる。また、ウドは粕漬けなども四~五日で出すと歯ざわりのよさも失われないので美味しい、といって重宝にしていました。

生長したウドは1~2メートルにもなり、風もないのに自分でゆらゆら揺るぎます。ここから「独活」の名がつけられたといわれています。「ウドの大木」といわれるのは、大きいばかりで材木にも食用にもならず、役にたたないところからいわれてきました。しかし、大木になる前のウドは、独特の香りと味わい、しゃりしゃりとした歯ざわりで、日本の春に欠かせない野菜です。

昼月や
山独活を掌に匂はしめ
石田波郷

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」448号(2023年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。