ニシン
「ニシンきたかとカモメに問えば・・・」勇壮な「ソーラン節」ですが、ニシン漁の盛んなころは、
春の遅い北海道にコブシの花が咲く彼岸の夕暮れ、カモメが空を埋めるように乱舞して、
ニシンの大群が押し寄せてきたことを告げます。ニシンは「春告魚」といわれます。
シーズンになると、東北地方から出稼ぎの人が北海道の日本海に面した漁場に特別列車で赴き、
獲れたニシンもまた、特別列車で東北の米作地帯や大都市に輸送されたものです。
ニシンは当時の農村の米つくりの肥料として使われたほか、
日本人の大切なタンパク源として活用されました。
ニシンは分類上、硬骨魚類の中では原始的な形状をもった魚で、マイワシの近縁種。
ニシンは新鮮なものをそのまま塩焼きにするのが一番美味しいのですが、
栄養を考えますと生より身欠きニシンにしたほうが効果的です。
また身欠きニシンを真ん中に昆布で捲いて煮しめた昆布巻きは、
ニシンのエネルギー、タンパク質、アミノ酸類やビタミン類、脂質に加えて、
昆布のヨード、カルシウム、食物繊維が取り入れられますので
味覚、栄養ともに理想的な健康食品といえます。
また、ニシンには野菜からは摂ることの出来ないビタミンB12が豊富に含まれています。
ビタミンB12が欠乏しますと、手足に痺れが感じられ、チクチクとした痛みが出てくることがあります。
また、脊髄障害を起こしやすくなり、排尿障害や悪性の貧血をともなうこともあります。
ニシンの特徴は、体が細長くて、ほとんど歯がなく、
泳ぐことによって口に入るプランクトンなどの微生物を
エラという器官で振り分けて食べています。
海の静かな日の、日没から夜明けにかけて海藻の生い繁った浅場をめがけて押し寄せてきます。
そして雌はホンダワラなどの海藻に粘着卵を産みます。
雄はすぐ精子を放精し受精が行われますが、その時、
海はクキジル(群来汁)といわれるニシンの精子で真っ白になったと語り継がれています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」195号(2002年3月5日発行)に掲載された記事です。
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