正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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爪磨き

解剖の先生に聞いた話。爬虫類や鳥類は下向きに曲がったフックのような爪、鉤爪(かぎづめ)です。
人を含めてサルなどの霊長類を除いた哺乳類もそうです。
犬や猫、爬虫類など地面を歩くものは、地面に爪をひっかけて歩く助けとなっています。
走るときにはスパイクの役割も果たしています。
木の上で多く過ごすものは、幹や枝、樹皮にひっかけることで体を支えています。
餌となるものを捕らえて食べる、捕食性の動物の鉤爪は武器そのものです。
生活の場所や獲物によって、手の形・鉤爪の形が変わるそう。
そのため、爪の鋭さを保つよう研がれるわけです。

それに対して、人やサルなど霊長類は平爪です。堅く平たい爪で、
付け根のところから作り出され、角質化の進んでいない部分が白い半月状をしています。
鉤爪(かぎづめ)から変化したものです。
キツネザルやアイアイなどサルの中には、どれか一本の指に鉤爪が残っているものもあり、
これは原始的特徴の一つと考えられています。
平爪のサルは木の枝をつかみ、獲物をつかんだりつまんだりします。
道具を使うのも平爪だからできることです。

人は爪を磨きます。指先で生活がわかる、と言われるときもあります。
爪に三日月があるから健康ねとか、縦線がたくさんで栄養失調とか、
老化が進んだとか言われてしまいます。指先や爪が気になります。
なのに、水仕事が多くなると手もあれ、爪もあれます。
気分や気持ちも下がってしまいます。少しでも落ちたテンションをあげようと、
気分転換しようと爪を磨くことが多いのだとも思います。

ずいぶん前の話ですが、高齢者の多い街のネイルサロン。
50代から年齢分の割引で話題になっていました。50代だと50%オフ、
80代だと80%オフになるのです。70%オフ、80%オフの女性でにぎわっていました。
家にいることが多く、アルコールや手洗いが増えた時、気がつくと手がカサカサなうえに爪はボロボロ。
今こそ、ゆとりを増やしテンションをあげるために、爪を磨くことも大切なのだと感じています。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」416号(2020年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。