老化 ‐運動機能‐
人間の発達は上から下、つまり頭部から尾部へと進みます。
これは「頭部尾部法則」といわれています。
赤ちゃんは首がすわる、寝返る、お座り、はいはい、つかまり立ち、歩行の順で発達します。
これは上から下へと発達した結果によるものです。
老化はこの逆になりますが、大きな違いが2つあります。
ひとつは高齢者にとってはこれまで出来ていたことが、出来なくなってしまうということです。
もうひとつはこれまでの経験が利用できるということです。
赤ちゃんはつかまり立ちで杖は使いませんが、高齢者は杖で安定した歩行を得ることが出来ます。
老いが進むにつれて、身体機能は低下します。これはしかたのないことです。
それをどう受け止めるか、残っている能力をどう使うかによって、
その後の人生が変わってくるのかもしれません。
ですから、どのように老化が進むのかを知っておくことが大切です。
個々の老化に伴う変化を、運動機能、感覚機能、生理機能の順にみてみます。
今回は、運動機能です。
年をとるにつれて動作は次第に緩慢になり、安定性を欠くようになり、
しばしば転んだり、あるいは、そのため骨折したりすることもあります。
これは神経系の問題です。安定した姿勢をとることが難しくなり、動作全体が非常にぎこちなくなります。
さらに、目や耳、皮膚の感覚なども低下するために危険から身を守ることが難しくなります。
筋力は20歳頃をピークに、次第に低下していきます。
握力は年をとってもそれほど大きく変化するものではありませんが、他の筋力低下は急速です。
そのため、長時間の歩行が難しくなります。
骨は量が減少して、いわゆる骨粗しょう症と呼ばれる状態となります。
これは女性に著しいものです。関節の周りの筋肉も弱るので、痛みが生じやすく、
そのため姿勢を保つことが難しくなり、背中が丸くなってきます。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」213号(2003年9月5日発行)に掲載された記事です。
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