正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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スピリチュアリティ

最近、スピリチュアリティという言葉を耳にする機会が増えています。日本語にすると、霊性や精神性、宗教性などが使われてはいますが、どれも適切に表現することができずに、ほとんどがカタカナ表記されているといったものです。ただ、身体と精神だけでは表現できない何かを私たちは持っており、これを大切にしているということがあると思います。その中心となるのが、スピリチュアリティです。

現代社会が、「人に優しい○○」とか、「癒しの○○」を追求しているとすると、かならずスピリチュアリティにたどり着くのだと思います。世界保健機構(WHO)でも、健康の定義に身体や精神における健康だけではなく、スピリチュアリティにおける健康を加えようとする動きがありました。

あらためてスピリチュアリティとは何かと考えると、「そのひとらしさ」、あるいは「その人自身で、他にない」といった特徴が中心となります。スピリチュアリティとは、人間本来に備わり、人間の人生に意味をもたらすようなものととらえるとよいでしょう。

そのため、スピリチュアリティはQOLに関係してくるものです。QOLは人間が自分で人生や生活の選択・管理を行っていること、自分で意味があると見なせる目標を持っていることが含まれます。単に平均的な生活が確保されているだけでなく、個人にとって意味ある生活をすることをQOLがさしているからです。

医療の世界では、医療費に見合った「もの・ひと・こと」といったハードな面を明確な形で示す必要性が強調されている一方で、それでは満たされないいわばソフトな部分を追求するといったことがあります。慢性疾患や障害を持つ人が増加していることや、癌との共存といった視点が生まれてから、この考え方がいっそう重視されています。

この他、職場のスピリチアリティということ注目されています。組織の魂やスピリットという信念、日本人になじみかもしれません。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」237号(2005年9月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。