正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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生活習慣を改善すると認知症は予防できるのか

認知症(痴呆)とは、物覚えが悪くなっただけではありません。少なくとも一度は正常に知能発達された方が、脳の器質的な障害により知能が障害されて、しかもその状態が続く状態が認知症(痴呆)です。かんたんに言うと、今まで普通に問題なく行っていた仕事や課題を遂行すること、あるいは日常生活が困難になる状態といえます。

かつては、脳卒中が特殊な場所に起こったり、あちこちに起こるのではないか、あるいは年をとって特殊な原因のある方に起こると考えられていました。しかし、最近は生活習慣と関係があるといわれております。

成人病が生活習慣病と名前を変えて、ずいぶん立ちます。言葉としては生活習慣病と定着したと思います。成人病という考え方は、「年をとるからこういう病気になるのはしかたがない」という考え方がたぶんにありました。けれど、生活習慣病といわれますと、「病気になるのはあなたが悪い、あなたにも責任がある」というニュアンスもあるわけです。なるべく若いうちから生活習慣の偏りをみつけて、それをコントロールしていく、なおしていくことが望まれます。生活習慣病のうち、高脂血症、高血圧、糖尿病と認知症との関係には、何か共通する因子があるといわれています。

それでは生活習慣を改善することは認知症の予防にある程度はつながるのでしょうか。動脈硬化がそろそろできあがる三十歳代後半くらいには、きちんと生活習慣に気をつける方向へ行かないといけないのではないかいわれています。五十歳代での高血圧が二五年後の認知機能障害に非常に関係があるというデータがあります。ということは、三十歳代でもおそいくらいです。生活習慣病はできるだけ早くにみつけ、治療に当たることが大切です。生活習慣からくる病気を早くみつけて、適切な対応をとる。食事療法も含めて、必要ならば薬の治療もできるだけ早くすることが認知症の予防につながります。このようなことからも健康診断、人間ドックはきちんと受けるべきです。一年の決まった日に健康診断を受ける習慣を持ちましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」236号(2005年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。