正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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褒められる

NHKのテレビドラマに「褒めるひと 褒められるひと」というのがあります。見たことはありますか。同名の漫画をドラマ化したものだそうです。主人公は普段はきっちり仕事をしても褒められないのに、たまに失敗すると叱られる。悶悶としますが、上司にユニークな褒め方をされて、なんだか心休まっていく、というような内容です。

確かに、私たちは誰かに褒められたり注目されたりすると嬉しい気持ちになります。一方で、周囲から無視されたり叱られたりが続くと悲しい気持ちになります。健康な精神状態を考えるならば、この「褒められたい」「認められたい」気持ちと上手に付き合うことが必要です。

どうやったらこの気持ちとうまく付き合うことができるのか、これがなかなかくせものです。特に、若いころ、思春期の頃はこの気持ちが強く、多くが他人の評価を気にし、周囲に認められるかどうかに敏感になることが多いようです。そのため、他人の気を引く行動が必要以上に増えたり、逆に周りから孤立したりすることもあります。褒められたいがために、一生懸命になること、低い評価を受けないようにびくびく過ごすこと、どちらも心が弱ってしまいそうです。

褒められることを増やす方法があります。人に「ありがとう」という機会を持つことです。特別何かをするのではありません。コンビニで支払いを済ませ「ありがとう」、タクシーを降りるとき「ありがとう」といった感じです。周囲の人に「ありがとう」と言いながら、褒めるところを探すと良いです。そうすると、褒められることも増えてくるはず。

私たちは暖かな人間関係を持つと、幸せ度が増します。社会とつながっているという感覚が影響してくるからです。幸せな人の周りには幸せな人が多いそうです。幸せのおすそ分けは、かなり有効です。ニッコリ笑顔で「いつもあなたの気遣いに助けられています。ありがとう」これが言えたなら、あなた自身も褒められて幸せ度がアップするはずです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」451号(2023年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。