正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ペットとともに

空前のペットブームといわれる昨今。番犬ではなく、室内でペットとして飼う場合が増えているそうです。出勤途中には犬のお散歩中の人をよく見かけますし、夜遅い時間のお散歩も多いです。ペット関連ビジネスはこの数年で一・五倍にふくらんだとか。中国でもペットブームで、富裕層の間では高級犬がそのシンボルとなり注目されているそうです。

この背景には、核家族化やひとり暮らしの高齢者の増加などがあり、希薄になった人間関係の代償がこのブームをまねいていると言われています。そう考えると、少々せつない気持ちにもなります。けれど、テレビCMでの愛くるしい子犬や子猫の姿を見ると、癒しを求める気持ちも理解できます。

最近は「コンパニオンアニマル」と言う言葉もあります。動物たちを「生活を共にする仲間」として呼ぶ言葉です。

ペットを飼うことは、子どもに命の重要性を教えたり、ストレスで疲れた飼い主を癒す効果があるそうです。また、ペットを通して、飼い主同志のコミュニケーションがあったり、散歩が運動のきっかけになるなど、高齢の方が飼う場合も増えています。医療や福祉現場でもアニマルセラピーが使われています。アニマルセラピーとまではいかなくても、動物好きであれば、可愛いペットの恩恵を多分にうけていることでしょう。

しかし一方で、飼い主のモラルの問題で、ご近所に迷惑をかけることもおきています。たとえば、犬の場合は鳴き声、排泄物、噛みつきなどの被害です。これらが原因で、トラブルになったり、事件になったりしています。また、捨てられた動物も増えています。

市営住宅やマンションの入居の条件が少しずつ変わって、場所によっては「ペット可」のところも増えてきていますが、逆に退去を余儀なくされている飼い主もいます。もう少しゆったりと考えて、受けとめていきたいものです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」256号(2007年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。