働く人の健康について
厚生労働省の「労働者健康状況調査」によると、「普段の仕事での身体の疲れ」七二%(うち、「とても疲れる」十二%)、「仕事・職業生活に関する強い不安・悩み・ストレスがある」六二%。疲れとストレスの訴えは、実働労働時間が長いほど、睡眠時間が短いほど高率だそうです。疲労蓄積とストレスが蔓延していることがわかります。さて、皆さんはいかがでしょう。
一般定期健康診断の結果では、四九%の人に何らかの異常が見つかっています。この割合は毎年更新されています。半数の方たちが健康診断で引っかかるということです。さらに、こころの健康の点で見ますと、上場企業二一八社の人事労務担当者への調査結果では、「最近三年間に心の病が増加している」と回答した企業が六二%でした。これは従業員数規模の大きな企業ほど増加傾向が高いです。担当者が把握していないものを考えると、もっと多いことになります。その結果は、いっこうに減らない自殺者の数に現れてきます。九年連続で三万人を越す現実。死亡率は欧米の二倍に相当します。年齢別では四十代以上が七三%です。自殺の動機は「健康問題」が四八%と最も多く、「経済・生活問題」と「勤務問題」が続きます。
私たちの生きている社会はこんな状況にあります。成果主義は、コスト削減の効果を上げましたが、賃金の低下、競争の激化、人材育成機能の低下につながりました。働く場は疲弊し、管理は弱化しているかもしれません。貧困は健康を一層悪化させます。
生きる力を蝕んでいく慢性的なストレスは、うつなどの精神的不健康を招きます。恒に攻撃的なストレスホルモンが過剰に分泌され、免疫力の低下になります。
個人だけの対応、その人の心も持ちようという段階ではありません。社会を、組織ぐるみで考えていくことが必要です。あなたの職場は信頼できますか。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」261号(2007年9月5日発行)に掲載された記事です。
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