正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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コミニュケーション

他者とコミュニケーションをとっていくためには、まずはその人を知ることが大切です。加えて、高齢の方とお話をする時には、老年期の特徴である変化、生理的、心理的、そして社会的変化を知っておくことが基本です。高齢の方とのお話が上手な人は、意識しているかどうかは別として、経験としても知識としても大事なポイントをつかまれています。そうすることにより、高齢の方に対しての寛容さが身につくのかもしれません。

高齢者とのコミュニケーションの基本は、理解し受容しという態度です。具体的には話しかけ方と聞き方で決まります。うなずく態度や微笑み方も重要です。応援の気持ちが強くなると、すぐに励ましてしまいたくなります。しかし、頑張っている人に、頑張れというのはかなり酷なこと。気をつけなければなりません。

人生の先輩として、尊敬と一人の人間としての存在を考えることです。適切に敬語を用い、また丁寧な表現をする必要があります。孫以外は、おじいちゃん、おばあちゃんの呼称は避けたいものです。関係が深まり、親近感から自然に表現されたものであれば、この声かけは許されるのかもしれません。それでも、多くの高齢の方は、不満を持たれているようです。初めての顔合わせのときは、やはり名前を呼ぶのが望ましいです。

高齢になると、多くの情報を短い時間で判断することがとても難しくなります。そこで、提供する情報はできるだけわかりやすく、ひとつずつ判断できるように段階づけることが大切です。また、簡潔な話し方に心がけます。肯定なのか、否定なのか、はっきり分かるよう話しかける必要もあります。

高齢の方の言葉の特徴は、繰り返しが多いといわれています。何度も同じことを繰り返して話すとき、それを聞いているのは非常に忍耐がいることです。話が回りくどくなったときには、途中で要約するのを助けることも効果的です。こういうお話でしょうか。というように、途中で確認するのです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」290号(2010年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。