正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

大学生、カメになる

かつて、子どものカバンが姿勢、特に側弯症になると、ショルダーバッグの斜め掛けが推奨されたことがありました。その当時より、教科書サイズは大きくなり、参考書が増えています。子どもだけではなく、東日本大震災以降、大人の持ち歩く荷物も増えているような気がします。

日本人の姿勢はあまり格好よくないと、今でも言われているようです。自然に立つ姿勢は、長期間の生活習慣の中で作られていると考えられています。仕事やスポーツ以外で長期間拘束されるものの一つに、重たい荷物を運んでの通勤通学があげられます。

小中高校生の通学バッグは、学校により指定のものがあったり、自由であっても制限があったりするかもしれません。ですが、大学生は服装が自由であることに加え、授業や課外活動、アルバイトなどにより、収納する荷物のかたちや重さが異なり、バッグも自由に選ぶことができるはずです。それでも、最近の学生はリュック式のバッグを背負い、カメのような姿勢で歩いている人が多いことに驚かされます。

リュック式のバッグは重たい荷物のために、後ろに傾く姿勢となります。リュックの重さの分だけ重心が後ろに移動するため、前かがみにならないとバランスが取れなくなるのです。頭を突き出し、顎が出る。まさにカメです。

見た目も格好悪いですが、それ以上に首や腰に負担がかかります。肩こりが当たり前になってしまいます。ストラップを長くして、低い位置で背負っている人も多いですが、体との距離ができてしまって、肩とおしりに重さがかかります。肩こりが一層ひどくなります。低い位置で背負えば、背筋が伸びるわけではありません。

リュック式バッグを使用するならば、ストラップを調節して背中に密着させて背負い、背筋をのばして、猫背にならないように気をつけましょう。そして、面倒でも時々背中から降ろすことも大事です。カメになりませんように。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」438号(2022年6月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。