正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

乾いた季節

冬にインフルエンザが流行するのは、寒さのために体が冷えて、代謝が下がってしまうこともありますが、湿度の下がった乾燥状態も原因の一つです。

インフルエンザ・ウイルスは、空気が乾燥すると元気になります。加えて、乾燥はのどの粘膜の防御機能を低下させます。ウイルスが粘膜に取りつくと、非常に速いスピードで増殖し、24時間後には100万個に増えて、のどの粘膜の細胞を壊し始めます。そのため、インフルエンザの潜伏期間は短く、大流行となるわけです。冬の気象条件は、インフルエンザ・ウイルスにとって都合の良い条件がそろっているのです。

そこで、インフルエンザの予防対策として、湿度を保つことが必要になります。湿度は50~60%を保つことです。睡眠中に口を開けて寝る癖のある人は要注意です。口を開けての呼吸はのどが乾燥します。加湿器やマスクをして寝ることをお勧めします。

乾燥は肌荒れも引き起こします。冬になるとお肌がかさかさしますし、かさかさ肌にはかゆみをともないます。肌が乾くと、かゆみのような刺激に弱く、閾値(いきち)が低くなるために、とてもかゆく感じてしまうのです。

乾燥肌が原因のかゆみは、ついかいてしまいますが、これはかゆみ症状を一層悪化させます。かゆみは体温が上がっているときに感じることが多いので、外から冷やすこともよいです。ただし、冷やし過ぎやぬらしたままでいることは、肌の水分をさらに乾燥させてしまうので、ドライタオルで冷やすとよいでしょう。

入浴後は、濡れたままにせずに水分を拭き取り、しっかり保湿することが大切です。また、ビタミンB2やビタミンEの多い大豆製品や、ビタミンCが豊富な野菜を取ることも乾燥肌対策になります。

暖房は控え目にして加湿することは、お肌のためにも、インフルエンザ予防としても大切です。そして、睡眠時間を確保することです。こころとからだに潤いが必要なのです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」302号(2011年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。