正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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情報を正しく理解する方が長生きできる

イギリスの研究結果ですが、高齢者の約3分の1の人たちは、健康に対する理解が不十分で、基本的な健康に関連する情報、文章を正しく読んだり書いたりする能力が困難であることが報告されています。また、この関連情報を理解する力が低いほど死亡率が高くなることが明らかとされています。

この基本的な健康関連情報などの書かれているものを正しく読んだり書いたりできる能力を、健康リテラシーと言います。あやしい健康食品やダイエット食品などに騙されないために必要な能力でもありますが、健康に関する知識・理解を向上させ、より健康的な生活を送るためには大切な能力です。

風邪薬、頭痛薬、目薬など、ドラッグストアで市版薬を買われた時に、薬の使用説明書は読まれていますか。使用上の注意は、①してはいけないことと、②相談すべきことの2点が書かれているはずです。以前と比べると、絵が多く、文字も大きくなるなど、読みやすくわかりやすい説明がされるようになっています。しかし、ほとんどは、読むことなく捨ててしまっているかもしれません。

ご紹介した研究は、この説明を読み、正しく理解できたかどうかが、健康リテラシーの能力のひとつととらえた調査です。イギリスの高齢者の約3分の1が、この説明の読解が困難であったという結果です。この結果から考えなければならないことは、健康関連サービスの計画や提供の仕方の工夫です。説明書を読んでもらうだけでは、理解できないのですから、別の方法が必要です。また、健康になるための教育システムを作らなければならないでしょう。

日本では、健康格差は所得や教育と強い相関があるといわれてきました。健康意識や環境を考える教育の機会が必要なのかもしれません。健康が大切と考える人は、健康意識を高められるよう自らがんばらなければならないのでしょう。多くの人がそう思える文化になると、健康で長生きの人が増えそうです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」318号(2012年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。