正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ポジティブ・エイジングのすすめ

年をとることによって起こる老化の原因をできるだけ抑えることによって、老化を予防したり、改善したりという考えがアンチエイジングです。いつまでも若々しくありたいという願いをかなえる、魔法の言葉のように感じます。90年代初めにアメリカから出てきたものの一つです。

医学においては、「抗加齢医学会」アンチエイジング医学会というものがあります。健康長寿を目指す医学が老化の原因を解明しようと研究されています。

人類の見果てぬ夢の「不老不死」に近い発想かもしれません。ですが、アンチという言葉にはちょっと抵抗があります。「アンチ巨人に」というように、対立の対象となるために使われているようで、平和主義の私は好きになれません。

最近言われているのは、ポジティブ・エイジングという考えです。年をとることを否定するのではなく、すてきに年を重ねていく。加齢を恐れるのではなく、ポジティブにとらえていくというものです。

ポジティブ・エイジングの考えは、三つの視点があります。一つ目は前向きの活動です。物事に対する姿勢が積極的で、建設的な活動が健やかさにつながります。

二つ目は楽観主義です。世界や人生の価値や意義を肯定的に認める立場を言います。物事や事態の成り行きを良い方向に考える物事のとらえ方、認識の仕方です。悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属すると言われています。いいことがあったから上機嫌でいるのではなく、上機嫌でいる人は悩みがないわけでも、何も考えずにのほほんとしているわけでもなく、強靭な意志を持って、常に上機嫌であるように努めているということです。

三つ目はポジティビティです。ポジティビティには、愛情、感謝、喜び、希望など幅広い肯定的な感情が含まれています。そういったポジティブな感情をもたらす前向きで楽観的な態度や考え方、それに伴う柔和な表情、優しい気持ち、心地よい身体などの意味を持ちます。すてきに年が重ねられそうです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」331号(2013年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。