運動を開始するのに遅すぎるということはない
高齢者の自立を妨げる三大病気があります。脳卒中、骨折、そして認知症です。これらの病気は年齢とともに、その頻度が激増し、高齢者に特有のいわゆる「老人病」といわれるものです。
老人病の多くは、生理的老化の上に生活習慣やライフスタイルの影響を受けて発症します。ライフスタイルはその人の日常生活様式ですから、健康上好ましくないものが含まれているのなら、それを除いていくことがより良い老後につながるものと期待できます。
健やかな老後を阻むものとして、運動不足、肥満、ストレスなどがあります。運動は重要ですが、加齢とともにその能力は低下していきます。一般的に体力は20歳台でピークとなり、その後は徐々に低下していき、高齢になると急激に低下が進むといわれています。そして、使わなければ衰えるという原則があるため、ライフスタイルによって個人差が生じるわけです。
歩くのが億劫になる、家に引きこもりがちになる、体力が衰える、ますます歩くのが億劫になるという悪循環です。できることは、なるべく普段の生活の中でするようにして、少しでも身体能力を高めることが大切です。「悪循環」から「好循環」への転換につながるからです。
最近の研究では、75歳を越える後期高齢者や虚弱な人でも、身体活動を増やすことで健康を改善し、自立性を高める可能性が明らかになっています。いつからでも遅くはなく、効果が期待できます。持久力、筋力、バランス、柔軟性が大切な運動となります。
転倒予防のためにも、運動を継続することが重要です。転倒による骨折、寝たきりという流れを阻止することになります。具体的には、1回30分程度の運動を週3回以上行うのが良いとされています。手軽さから言うと、ウォーキングが良いです。距離にこだわる必要もありません。適度な水分補給を心がけて行ってみてください。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」345号(2014年9月5日発行)に掲載された記事です。
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