正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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子供のうつ病

子どものうつ病はあまり知られていないかもしれません。うつ病は大人の病気だと思われがちです。しかし、最近は小学生もうつ病と診断されるようになっています。

北海道大学の調査では、小学生の1・6%、中学生の4・6%がうつ病と診断されています。不登校はうつが原因になることが多いといわれていますが、不登校の場合には、発達障害を持つ割合も多いようです。また、うつ病の子どもは発達障害を持っていることも少なくありません。

発達障害を持っている可能性を考えると、幼い頃からよく怒られ、周囲の大人からも子どもにも理解されず、理不尽な思いをした経験があるはずです。そのため、「どうせ自分なんて」と自己評価が低く、うつ病に結びつくことが多くなるわけです。

発達障害の子を持つ親は、親自身も同様の傾向の場合が多く、子どもの育てにくさを強く感じやすくなることがあります。そうなると、誰にも相談できず、ストレスがたまり、虐待の原因になりますので、深刻です。発達障害を持つ子への対応は親だけでは難しいものです。学校やカウンセラーなど相談にのってくれる人を探すと良いでしょう。

子どものうつ病がみつけられにくい原因のひとつに、そのあらわれ方があります。「うつ」といっても、気力をなくしてぐったり寝込むというわけではないのです。落ち込んでいることを表現できない子どもの場合、腹痛や頭痛を訴えたり、いらいらして怒りっぽくなったり、暴力的になったりするのです。

うつ病は特別な病気ではありません。精神状態が未熟な子どもは傷つきやすいため、些細なきっかけで誰でも発症する可能性があるのです。環境を改善してしっかり休養することで状況が改善する可能性は十分あります。子どものときに不活発であったものに比べ、活動的であったものでは青年期にうつ病を発症する危険性が少ないという報告もあります。重たい状況になる前に気がつくことが大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」351号(2015年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。